みなさま、こんにちは。むひっぴです。

 6月初めだというのに夏真っ盛りのような激しい日差しが照り付ける昨今、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?
 ちなみに、僕がどうしていたかというと、前回記事で蔵王ヒルクライムが中止となったことを書きましたが、その後は、これまで継続して頑張っていたローラー練習を中止して、オフシーズンとばかりに自転車を漕がない日を2週間ばかり続けていました。
 そんな状態で久々に2時間ほどライドをしてみたのですが、結果は『①疲れてもいないのに筋肉が言うことを聞かない』『②心肺がすぐに限界を迎える』『③ヒザの腱が痛くなる』と散々なものでした。
 「継続は力なり」とはよく言ったものです。ローラーを続けていた時期は、徐々にに力が付くのを実感したものでしたが、努力をやめた途端に肉体はすさまじい速度で元の状態に戻ってしまったのです。
 みなさまも、練習で培ったものを失うのは一瞬です!お気をつけて!

 そんな貧脚ロングライダーが、久々にロングライドをしましたのでご報告。
 行先は再びの八幡平。
 今回の目的は、「八幡平ドラゴンアイリベンジ」「樹海ライン走破」「玉川温泉入浴」と盛りだくさんです。

 そんな今回のルートはこちら↓

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 きっかけは、家族が言った一言「玉川温泉に入りたい!」でした。
 八幡平には去年・今年で2回ほど登っているけど、実は秋田側に行ったことがない。
 理由は簡単で、自走で秋田側を下って登り直せる気がしないから。
 でも、玉川温泉まで車で行く人がいるならば、帰りは車で帰ればいいじゃない!
 温泉にも入れちゃう!
 なにそれ素敵!

 というわけで、モノはついでだ。時期的にちょうどいいし、前回のライドでは見れなかったドラゴンアイを見てこよう。樹海ラインも走ってしまえ!
 といった思考回路から、今回のライドが組み立てられました。

 そんなこんなで、やって来ました八幡平市は樹海ライン入り口(と思っていた場所)
 この信号を右に曲がればアスピーテライン。まっすぐ行けば樹海ラインなのです。
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 ここで、樹海ラインについて簡単な説明を少々いたします。
 樹海ラインは、松川温泉から八幡平頂上付近まで走っている道路です。
 アスピーテラインが北側から山頂まで登るのに対して、樹海ラインは南側から山頂に至ります。
 そして、「樹海」の名のとおり、アスピーテと比べて樹木に囲まれた部分が多いのが特徴なのです。


 さて、そんな樹海ラインを登り始めた僕が目にしたのは、先制パンチというにはヘビーすぎるヘアピンカーブ。
 下の写真ですが、斜度は外側で10%。内側は最大で15%あります。
 ハハッ、笑えるなぁ。ヒザはもっとガクガクと笑っているよ。大爆笑だよ。
 こんなんで登り切れるんだろうか。と一抹の不安が胸をよぎります。
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 ヘアピンを抜けても、ギアはインナーロー。
 勾配は6~8%が続きます。そろそろ休ませてくれないものだろうか。
 と思っていると看板が出現。松川温泉が近いのかなと近づいてみると。
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 「樹海ライン入り口まであと3km」
 ここが樹海ラインじゃないのかーい!
 そう、僕はこの時まで、松川温泉まで続く登り坂も樹海ラインと思っていたのですが、本当の樹海ラインは松川温泉から先なのです。
 ちなみに樹海ライン分岐から樹海ライン入り口まで約8kmもあります。
 みなさまもうっかり心を折られないようにお気をつけください。
 僕は、しっかり折られました。
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 まあ、気を取り直してじっくりと進み、とうとうやってきた樹海ライン入り口。
 ここを右に曲がれば樹海ラインです。とうとう真の樹海ラインにやって来ました。
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 そして、樹海ラインを登り始めて、すぐの看板に驚愕。
 「ホゲェー!!まだ18kmもあんのかよ!!」
 
アスピーテラインは登り始めから山頂付近まで18km。
 樹海ラインは入り口まで登り8km。樹海ライン自体が18km。合わせて26km。な、なんて長いんだ…
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 まあ、自分で登ると決めた道に文句を言っても始まらないので、覚悟を改め、またユルユルと登り始めます。
 樹海ラインは、その名の通りほぼ樹木の中を走っていくルートになっており、見通しはあまり利きません。
 ただ、要所要所では、樹木が隙間を開けて絶景を見せてくれます。
 下の写真もそんな絶景の一つ。
 裏から見た岩手山、そして縦走路を横目に目を奪われ、脚を止めて写真をパチパチ。
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 登り続けていくと、いきなり現れる下り坂10%の看板。
 ご褒美だと思って、これまでコツコツ貯めてきた位置エネルギーを使って疾走します。
 その後もチョコチョコ現れる下り坂に位置エネルギーを放出しつつ、登っていきます。
 登りがムチ、下りがアメだとすると、ムチ8・アメ2の割合です。
 一時の下りの気持ちよさに酔ってしまいそうになりますが、騙されてはいけません。
 下りがあるということは、標高が下がり、山頂まで沢山登らなければいけないのです。
 「マーラよ去れ」と呟きながら降りていきましょう。
 ちなみに、何度目かの下り坂、下の写真の地点からは標高差100m近くの長い下りとなります。
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 残り5kmを切ってくると、谷を挟んで向こう側にアスピーテラインが見える場所もあってテンションが上がります。
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 下の写真は頂上まで3km地点で撮ったのですが、思った以上に斜度がえげつないです。
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 残り1km。頑張れ自分。
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 そして、ようやっと山頂に到着。
 樹海ラインはキツカッタ!キツカッタヨ!!
 個人的には、アスピーテラインよりキツかったです。
 単純に距離も長いし、獲得標高がアスピーテよりあった感じがします。
 でも、アスピーテラインを何回か登った人には、一味違った景色を楽しめるのでオススメです。
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 ただ、今回のライドはここで終わりではないのです。
 秋田側に下って、玉川温泉まで行かないと。
 でも、ここから先は下り坂だけだから余裕でしょ!

 と、思っていた時期が僕にもありました…


 とりあえず、その話は置いておいて、ひとまず、秋田側に下っていきます。
 ちなみに、秋田側の道は10%近い下りが続くから、とんでもなく速度が乗りやすいです。
 速度が乗りすぎたところにヘアピンカーブがくるから、とても危ない。
 スピードの出しすぎには本当に注意したほうがいいと思います。
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 下りを楽しんでいると、あっという間に後生掛温泉までやってきました。
 でも、まだまだ下り坂は続きます。
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 そして、楽しかった下り坂のアスピーテライン秋田側も終了してしまいました。
 そこで玉川温泉まで残り何kmかなーと思い、グーグルマップを開くと残り12kmとのこと。
 その時は、「思ったより距離があるなぁ」位にしか思っていませんでした。

 しかし、進んでいくと、脚を使い果たした僕の前に現れたのは、またしても坂でした。
 今度は5%の登り坂です。
 これが樹海ラインを超えてきた脚に響きます。
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 「もうっ、僕にっ、残ったっ、脚はっ、ありませんっ…」とリズミカルに呟きながら、残った脚力を搾り出すように漕いでいきますが、サイコンの距離は一向に増えていきません。
 精神的には、長い戦いでした。
 いつ終わるともわからない登り坂は、約7km続きました。この最後の5%が、僕には永遠に感じられたのです。ツラかった…
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 そしてようやく、玉川温泉付近までやってきて、見通しが良いところで写真をパチリ。
 ちなみに、この写真を撮った後に自転車が転んで、バーエンドキャップが吹き飛び、丁度やってきた車のタイヤが粉砕していった訳ですが、僕は、粉砕されたバーエンドキャップを、ただただ、呆然と見つめるしかなかったわけでありました。
 買おうかな、バーエンドキャップ。
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 紆余曲折あり満身創痍で、やっとこさやってきた玉川温泉。
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 家族と合流して、車に自転車を積み込んで、着替えを受け取った後に、まずは大浴場に向かいます。
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 風呂場でキャップを脱ぐと、まるで元々そんな模様があったかのような汗塩のアートがそこにありました。
 すぐに洗濯した気持ちをグッとこらえて写真をパチリ。
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 ここで、玉川温泉の基礎知識をザックリと説明します。
 玉川温泉は、元硫黄鉱山の近くにあるエクストリームな温泉です。
 何がエクストリームかって、源泉が、なんとPH1.12。
 日本で一番強酸性の温泉となっております。
 理科室だったら、カギかかるところにしまわないといけないレベル。
 目に入ったら速やかに真水で洗い流さなければいけない。
 そんな劇薬が、98℃で毎分9,000リットル溢れてくるんだってさ。
 もはや笑うしかない。
 湧出量も日本一だそうです。
 ちなみに、温泉のすぐそばには硫黄ガスが発生する地帯があり、ガス溜まりに入ってしまうと死の危険がありますので、ご注意を。ここは地獄かよ。
 あまりのお湯の強さにガンが治るとまで言われており、全国から湯治客が押し寄せています。

 玉川温泉の入浴料は一人800円。ちょっとお安くないですが、入る価値は十分あると思います。
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 浴室の中は、木造となっており、レトロな雰囲気がGOODです。
 浴槽は、それぞれ「源泉(100%)」とか「源泉(50%)」とか書いています。
 戸愚呂弟みたい。
 シャワーで汗を流してから、源泉100%の浴槽に恐る恐る身体を沈めていきます。
 浴槽のお湯自体はぬるめです。
 指先から溶けていかないか心配でしたが、そんなことはありません。
 意外とだいじょぶだったり?
 ん?!ヒリヒリ?いや、痛い…いたたたた!!
 突如として、身体のある部分を、ライターの火を当てたような熱さに似た痛みが襲います。
 どこかっていうと、貴重な女性ライダーに配慮して言えば、股間部。
 配慮せずに、あけっぴろげに言ってしまえばケツ穴が焼かれるように痛かったです。尻毛に火が付いたかと思いました。

 強酸性のお湯は傷口は焼いて、強制的にカサブタにしてしまう効果があるようで、しばし、痛みに悶絶してました。
 みなさまも、ロングライド後の入浴はご注意願います。
 あと、お湯は酸っぱいです。

 温泉を出て少しゆっくりしてから、車で八幡平を登っていきます。
 あっという間に、見返峠までやって来ました。楽ちんだなー。
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 そして、ドラゴンアイを目指して、今年2度目の雪中行軍。
 SPD-SLのクリートがすべり止めになって実に歩きやすい。
 同じ目的で歩いている人が沢山いて、道は結構込み合っています。
 ハイヒールで雪道を登っている人もいました。
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 とうとう出会えたドラゴンアイ。
 青い空と、残雪と、紺碧の湖がなんだか不思議な空間を作っています。
 なるほど、これがドラゴンアイか。
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 ちょっと遅くなりましたが、「八幡平ドラゴンアイ」についても簡単にお話します。
 八幡平山頂付近の鏡沼。
 冬期間は雪に埋もれて見えなくなるわけですが、この沼の雪が解けていく過程で、原因はよくわかりませんが、上の写真のように浮島のように雪が残るのです。
 これが「竜の目のようだ」というわけでドラゴンアイと名付けられたのです。

 うん、しっかりこの目で見ることができて満足です。
 その後は、車で無事、盛岡まで戻ってくることができました。

 今回は、八幡平をばっちり満喫することができる良いコースだったと思います。
 ドラゴンアイは時期限定だけど、誰かに車で拾ってもらう必要があるけれど、今回のコースはオススメです。
 今度は、どこを走ろうかな。


 【今回のリザルト】
 ・距離  :65.6km
 ・獲得標高:2094m
 ・平均速度:20.4km
 ・消費カロリー:2,480kcal